【話ベタ卒業!】経験と場数を積みまくった僕が説明上手な人間になるまでに辿った5つのステップを紹介する

高校生までの僕は自他共に認める「話ベタ」でした。

人前で話すのがとにかく苦手でヘタクソ。話を始めても、終着点が見えなくなって自分が何を話しているのか分からなくなったり同じことをぐるぐると何度も話してしまったりと壊滅的な説明ベタでした。

そんな僕でしたが、大学生の頃に「こんな自分を変えたい…!」と一念発起。説明やプレゼンテーションに関する書籍を読み漁り、同時に何度も何度も実践を繰り返しました。特に説明力を鍛える為に始めたキャンパスツアーのアルバイトでは、延べ2,000人以上の高校生に向けて、大学の説明や受験勉強の方法についてプレゼンを繰り返し、人前でも自信を持って話ができるように成長しました。

社会人になった今では「お前の説明は分かりやすい」とか「お前が言うとなんとなく納得させられるんだよな…」なんて有り難い言葉まで頂けるようになりました!

今日は、説明ベタ脱却のために僕が見出した『説明上手な人間になるための5つのステップ』について、自分の経験をベースにまとめていきます。この記事を読んで、少しでも説明上手な人が増えると嬉しいです!

Step1 「なにを伝えたいのか」目的を明らかにする

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まず「自分はこれから何のために話をするのか」を相手に伝えることが第1ステップです。説明ベタな人はこれを抜かしていきなり話を始める人が非常に多く、聴き手にとっては大きなストレスとなります。

例えば、こんなケース。オフィスでありがちな会話ですが、この説明、あなたが聴き手ならどう思いますか?

「こないだA社と結んだ契約の件で、A社の担当者からさっき電話が来たんですけど、どうも社内で再検討した結果、契約の見直しをしたい箇所があるみたいで。具体的には、支払い条件の部分みたいなんですけど…」

このような説明では、聴き手はこれから何の話が展開されていくのか不明瞭なまま、とりあえず話を聞かなくてはなりません。経験がある方も多いと思いますが、この状態、聴き手としては非常に大きなストレスです。「で、なにが言いたいの?」「僕はなにをしたらいいの?」という心の声を押し殺しながら方向性が分からない話を延々と聴かされるのは時間のムダでしかありません。

では、こういう説明だとどうでしょうか。

「以前のA社との契約で締結後の見直しが発生しそうで、どう進めればいいか少し相談させてほしいんですけれど、大丈夫ですか?A社の担当者が、支払い条件の部分で変更を掛けたいみたいで、具体的には…」

このように、最初に目的を話してあげることによって、聴き手の頭の中には「枠」ができます。今回の例では「この話は相談事なんだな、どんな相談だろう。自分の経験から何がアドバイスできるか考えつつ話を聴かないと」と思わせることができれば、聴き手の脳内に「枠」が作られた状態になります。聴き手をこの状態に持っていってからが説明のスタートです。

僕はこの「枠」を本棚と表現しています。まずは自分の話を収納してもらうための本棚を相手の頭に作ってから話を始めることを意識しましょう。そして、1冊1冊丁寧に本を収納するイメージで話を進めていきます。

相談がしたいのか、単なる情報共有なのか、ちょっとしたお願いなのか。まずは最初に一言でいいので話の目的を盛り込み、聴き手の立場を明確にしてあげましょう。

Step2 話の舞台(前提)を作り、聴き手と共有する

目的を明らかにしたら、次は話の舞台のセッティングです。RPGゲームでも、小説でも映画でも、はじめに舞台に対する説明や描写がありますよね。あれと同じです。ここで言う「舞台」とは話の「前提」や言葉の「定義」のこと。説明ベタな人の多くはこの舞台を整えないままに話し始めてしまいがちです。まずは話の土台となる舞台を整え、聴き手と同じ舞台に立って話ができる状態を作りましょう。

例えば、僕がやっていたキャンパスツアーのアルバイトでは、高校生に対して大学の授業について説明する場面がありました。バイトを始めて間もない頃の僕の説明はこんな感じでした。

「うちの大学では1年と2年の間に一般教養の授業を履修して、3年からは自分の好きなゼミに入って研究をすることになるんだけど、大学ではセメスター毎に自分が好きな講義を履修登録できるのが魅力の1つだと思うよ!」

どうでしょう?

大学を卒業した人や、現在大学に通っている人には違和感なく理解してもらえるかと思いますが、もちろん高校生のリアクションはイマイチでした。彼らのアタマの中はこんな感じだったと思います。「一般教養って?」「履修ってなによ?」「ゼミってなに?イメージが湧かない…」「セメスターってポケモン?」

完全に、僕の話の舞台と高校生の立っている舞台が違いますね。当然ですが、そもそもの前提知識が乏しい人に専門的な話や自分のいるコミュニティにしか分からない話をしてしまうと、相手が話についてこられなくなります。「ゼミ」という一般的な(一般的だと思いこんでいる)言葉ですら、高校生には理解してもらえません。こうなると、そもそも聴き手は話し手の話に興味を持つことができず、結果的に「よく分からない…」と思われる説明になってしまいます。

そうならないためにも、徹底して聴き手と同じ舞台に立って話を展開することが重要です。そのためには、相手のバックグラウンドを想像することが不可欠です。相手のこれまでの生い立ちや所属しているコミュニティなどを考え、この単語のチョイスなら理解しやすいかな?この話をする前に、前提を少し話しておいた方がいいかな?と常に考えながら会話を展開していきましょう。

ちなみに経験を積んだ後の僕の説明がこちら。

「まず大学って、何種類くらい授業があると思う?(誰かを指名して答えさせる)。正解はなんとその数、千個以上!すごく多いよね。で、大学では学期ごとに自分で好きな授業を自由に選ぶことができるんだよ。1,2年生のうちはこうやって色んな種類の授業を受けるんだけど、3年生からはその中でも特に自分が興味を持った分野について、ゼミっていう少人数のクラスみたいな感じの授業で掘り下げて行く感じになるね。高校とは違って、自分の好きな分野や興味ある分野を勉強できるのが大学の魅力かもしれないね」

分かりやすくなりましたね。きちんと話の前提を作ってから説明をはじめ、高校生が分からないであろうワードは言い換えや修飾をしています。文章にしてみるとそれほど難しくないように感じますが、このように相手の立場を考えた言い換えや修飾ができる人は少ないです。実際にこのバイトでも新人の後輩はほぼ100%「ゼミ」とか「一般教養」といった伝わりにくい言葉で修飾もなしに説明を始めてしまいます。

社会人の場合、多くの年代、バックグラウンドを持った多様な人と話をする機会も多いと思います。自分の世代や業界の常識になっている言葉や、知っていて当然と思っている前提について、相手が本当に理解しているかを常に考えながら話を展開していきましょう。60代の方に「SNSを使ったマーケティングが…」なんて言ってもほぼ通じないでしょう。

Step3 展開をロジカルに

ここまでのStep1とStep2で話をする前準備が完成しました。この2つのステップを意識するだけでも、説明力はかなり向上すると思います。

Step3では可能な限りロジカルに話を展開することを意識していきましょう。説明が上手な人の話は一貫性があり、論理が一本の線で繋がっています。前提がこうで、僕が言いたい結論はこれで、なぜそう判断したかと言うと、その理由が3つあって。1つ目はこれで・・・。といった感じになっていますね。

こうしたロジカルな展開で説明ができる人は、話す前から脳内に論理のピラミッド構造ができています。このピラミッド構造を意識して説明するだけで、あなたの説明力は格段に向上します。初めのうちは脳内でこのようなピラミッドを意識するのは難しいと思いますが、慣れると自然にできるようになってきます。f:id:twogulls:20170623181128j:plain

それではピラミッド構造とその構成について、例を交えて説明していきましょう。

まずは第一に何か言いたいことがあって説明を始めるわけですから、それを主メッセージとして伝えます。

例えば、Aさんが「我が家で次に飼う犬は、柴犬にすべきだ!」というメッセージを家族に伝えたいとします。あなたが家族だとしたら「え?なんで柴犬?ちゃんと説明してよ」と思いますよね?そこで、ピラミッドを1段下って2階層目のサブ①の理由を説明していきます。「なぜかって?なぜなら柴犬は番犬として役立つからね!(理由①)それに、値段も安いからね(理由②)」家族は思います。「柴犬以外にも番犬に適した犬もいそうじゃない?」「安いって本当なの?」そこで、更に1つ階層を下ってサブ②の理由を説明していきます。「柴犬は犬の中でも聴覚に優れていて、物音や異変に敏感なんだ」(理由①の説明1)「特に、柴犬のオスは見知らぬ人に対して活発に吠える習性があるから、番犬に適しているといえるね。ほら、こんなデータもあるんだ」(理由①の説明2)「それから、値段が安いってのは、このチラシ見てごらん。近所のペットショップで沢山柴犬が入荷されたみたいで、今週セールをやってるみたいだよ。」(理由②の説明)

そして、最後に主メッセージを繰り返します。

「だから、やっぱり次に飼う犬は柴犬がいいと思う!」

話の内容の真偽はともかく、Aさんの言いたいことは明解に理解できますよね。今回は例なので、家族のツッコミの声を入れてみましたが、プレゼンテーションなどの1人で話す場では、ピラミッド構造の上から順番に繋げて説明することを意識すると、分かりやすい説明となります。 説明の前にノートにまとめてから話し始めるのも良い練習になるでしょう。

これらのピラミッド構造についてはこちらの本で勉強できます。ロジカルシンキングに関しては間違いなく最強の1冊です。少し難解な内容もありますが、じっくりと読みこんで説明力を鍛えていきましょう。僕はこれまで何度も読み返して、その度に新たな発見があります。

また分かりやすく解説した入門書もあるので、こちらも参考にしてみるとスムーズに学習が進むでしょう。

Step4 徹底的に図解する

自分は話ベタだ、と思っている人に限って、何度も何度も拙い言葉で一生懸命に伝えようとしがちです。その熱意は伝わってきますが、「なぜ隣にあるホワイトボードを使わないんだ!」と思ってしまいます。そう、図解を制するものは、説明を制します。人間の認知力、判断力なんて大したものではありません。特に情報が聴覚だけに限定されると、その理解力は半減してしまいます。話ベタなのであれば、積極的にペンを使って図解することを意識しましょう。

図解といっても、綺麗な絵や図を描く必要はありません。〇や矢印、そして単語を書いて四角で囲む、といった程度で構いません。話の要素と要素の繋がりや、登場する人やモノの関係性を図解してやるだけで、聴き手の理解力は飛躍的に向上します。

僕も少し複雑な議論や説明になれば、すぐに裏紙やペンを取り出して図にまとめながら話を進めていきます。その際に僕が意識しているのは次の3点です。

  1. 単純化すること
  2. 関係生を意識すること
  3. 時間軸を意識すること

これらを考えつつ、図解しながら説明をしていきましょう。

まずは単純化して考えること。往々にして議論や説明は複雑になりがちです。まずはそれらを簡略化して、図に落とし込んで共有することで、全員のアタマを整理することが可能です。何が分かっていて、どの部分が不明瞭なのかを図解によって明らかにしていきましょう。

続いて関係性を意識すること。図解の最大のメリットは要素間の繋がりや関係性を明確にできることです。AとBがどのような関係か、Cはどのようなポジションに居て、今後どこを目指すのか、といった内容をスムーズに伝達することができます。

そして、時間軸を意識すること。時間の移り変わりを説明する際、口頭だけでの説明で全員が完璧に内容を理解することは不可能です。時間軸を矢印として書いたうえで、各要素がどこに位置しているのかを示していきましょう。

これらの図解思考についてはこの本で学びました。

実際にこういう図解のフレームワークやアドバイスが満載で、自分のレパートリーとして活用しています。

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図解を制する者は説明を制します。言葉だけでの説明が苦手な人は、視覚を頼ることを考えてみてはいかがでしょう。

Step5 最後は情熱

最終的には根性論ですが「伝えたい!」という気持ちを何より大事にしましょう。綺麗な論理や分かりやすい図解ももちろん大事ですが、最後は熱意・情熱に勝るものはありません。多少拙い説明であっても、伝えたい!という熱意が溢れ出ているスピーチやプレゼンには引き込まれてしまうことがあります。どうしてもこれを伝えたい!というメッセージがあれば、何度も何度も伝え、聴き手の疑問や意見に対しても真摯に耳を傾け、誠実な対応を心掛けましょう。

結局これまでの人生を振り返って思うのは、人間は感情の生き物だなあ、ということ。「何を言うか、よりも、誰が言うか」という場面にも数多く遭遇してきました。多少イマイチな内容だな、面倒くさい依頼だな、と思っても「ま、あいつが言うなら仕方ないか、今回は一肌脱いでやるか」と聴き手に思わせられる人が、ビジネスでもプライベートでも成功しているような気がします。

そのためにはやはり日頃から誠実に他人に向き合い、積極的に他人のサポートをするなど、仁徳を蓄積していくことが大事なのかもしれませんね。

まとめ

ここまで、説明上手になるためのステップを紹介してきました。

僕自身まだまだ説明力に関しては鍛えていきたい分野の1つでもあるので、今後も勉強を重ねて、また新たな記事が書けるように頑張りたいと思います。僕の経験が少しでも皆様に役立てば幸せです。